読めない手紙 60年安保改定の激動の年に21歳で自死した福崎町出身の歌人岸上大作(1939―60年)が亡くなる2年前に、思いを寄せた女性に送った絵はがきが見つかった。クリスマスイブに切ない恋心をつづったラブレターだ。(中略)緑のインク… もっと見る
現代歌人協会賞受賞のことば 第五十五回目の現代歌人協会賞に『鈴を産むひばり』が選ばれたことを、大変うれしく思います。選考委員の方々、ならびに、歌集の出版にご協力くださった方々に厚く御礼申し上げます。 短歌に関わるようになって十年以上が経ちますが、学… もっと見る
格子の中から 月に三十円もあれば、田舎(ゐなか)にては楽に暮らせると―― ひよつと思へる。 石川啄木『悲しき玩具』 啄木が二十四、二十五歳ぐらいの頃の歌になるだろうか。実に一世紀ほど前の近代短歌であるが、今いる場所を離れた… もっと見る
あらゆる掛け替えについて 映像が立体的に見える3D映画が流行っていると聞いて、最近その一つである「アバター」という映画を観た。立体映像の方式にはいくつかあるそうだが、ゴーグルを装着する点は共通している。私が足を運んだ映画館では「シャッター方式」と… もっと見る
「歌集」を遠くはなれて 英文短歌を詠むRON L. ZHENGという歌人がいる。彼は写真と短歌を合わせた紙歌集『leaving my found eden』を上梓している。 今、「紙歌集」と敢えて書いたのは、彼の作品はパソコンにダウンロードして… もっと見る
カメラであることを ひと月に一度ほど通うバーがある。店の片隅には、ゴシック調のボックスアートが置かれており、その隣に年代物のカメラが飾られている。ある時、カメラに目を留めた女性客が、普段このカメラを使っているかと店主に尋ねた。単なる飾りであ… もっと見る