佐佐木幸綱の一首

俺は帰るぞ俺の明日(あした)へ 黄金の疲れに眠る友よおやすみ 佐佐木幸綱『夏の鏡』 歌集の読み方は人それぞれだが、若輩でなければできない読み方がひとつある。先行者たるベテラン歌人が、自身と同じ年頃にどのような歌集を残した…

高柳蕗子『短歌の酵母』書評

「鹿首」発表の論に手を加えるかたちで構成された評論集。既刊評論集の中では『短歌の生命反応』(北冬舎・二〇〇二年)に接続する一冊と言える。 短歌を巨大で長命な「生命みたいなもの」と捉え、「人という酵母菌たちに短歌を詠ませて…

骨格を問う ――特集:短歌賞を考える

四年ほど前、座談会収録のために本郷にあった角川ビルを訪れた。収録には「短歌」編集長を退かれてまもない杉岡中氏も同席された。収録の合間に、私はほんの興味で、角川では短歌評論の新人賞は用意されないのか、ということを聞いてみた…

雨と徹底的な外部 ――特集:雨の歌

雨、うすきテントを叩く外部とは徹底的に外部であった 中澤系『uta0001.txt』   硬貨の絵柄は海の生物 雨がシングルクリックとなるまでを待つ5クローネ(銀のイルカ)を指で跳ねあげ 光森裕樹『鈴を産むひばり』 雨の…