ひとつの旅を――特集:憲法とわたし

十年ほど前、勤めていた会社に関連した旅行会社に出向したことがある。インターネットでの航空券予約システムの開発・運営に携わるなかで、旅行業界で働く人々が非常に多くの国を訪れていることに気がついた。旅行好きが昂じてこの業界を…

寺山とソレル――特集:「寺山修司の手紙」を読む

「チエホフ祭」のエピグラフ「青い種子は太陽のなかにある ジュリアン・ソレル」がスタンダールの『赤と黒』からの引用ではなく、寺山によるまったくの創作であったことは広く知られている。「寺山修司論序説―万引騎手流離譚―」(堂本…

メッセージと詩――特集:沖縄を詠む

松村正直がサハリンを訪れたことを知ったのは、昨年の夏だった。樺太についての連載が「短歌往来」で展開されていた頃から、その情熱が松村を現地に導く予感はあった。それが実現したということが頭の中を一日中巡り、夜更けになって急に…

〈理解がない人〉を考える――特集:描く短歌

短歌と絵(本稿では写真・動画などを広く含む)について書くとき、その試みを何度か経験した者としては、それに〈理解がない人〉に向けて語りたくなる。「歌は一首で屹立しなければならない」「絵など読みの妨げだ」などと、いかにも彼ら…