砂子屋書房のウェブサイトの一首鑑賞コーナー「日々のクオリア」を担当しています。今井恵子さんが火・木・土、私が月・水・金の担当です。週に6回も更新されますので、一首評はどんどん流れていってしまいます。記録の意味を込めまして、一定数が溜まりましたら紹介した歌へのリンクをまとめるようにいたします。
特にそうする必要はないのですが、一首評はひとつのテーマを元に、何回かでひとセットになるように書いています。ただ、テーマで括ることと、できるだけ多くの歌人の歌を紹介することを両立させるのは難しく、さすがに一年は持たないように思います…
以下は1月4日から3月3日までの掲載分です。それぞれ、歌の前の番号をクリックすると該当するページが表示されます。
おなじ街という感覚
- (1) シクラメン選りいる妻をデパートに見て年の瀬の街にまぎるる 上野久雄
- (2) 指さしてケーキ買ひゐる夫を見つ通り雨降る駅のおもてに 栗木京子
- (3) 注文をするとき笑みているわれを肉屋の鏡のなかに見出でつ 阿木津英
伊舎堂仁は二度あらわれる
- (1) 春の夜の夢ばかりなる枕頭にあっあかねさす召集令状 塚本邦雄
- (2) おそらくは電子メールで来るだろう二〇一〇年春の赤紙 加藤治郎
- (3) 赤紙をもらった人だけが見れるめちゃくちゃおもしろい踊りだよ 伊舎堂仁
- (4) 第三次世界大戦終戦後懇親会に御出席します 御欠席 伊舎堂仁
靴下はなんのために
- (1) なんでなんで君を見てると靴下を脱ぎたくなって困る 脱ぐね 増田静
- (2) 少しやさしくされると少し気になってしまう単純 靴下を脱ぐ 虫武俊一
- (3) 君の弱みのごとく見ている靴下の裏側すこし汚れいたれば 平井弘
- (4) つま先に灯を点すような恋だった 靴下を履くことを覚えた 嶋田さくらこ
- (5) 利己的な点すこしある友人の話題が
靴下 のことに戻る 安藤美保 - (6) 春泥を踏みつつゆふべ帰り来て皮膚脱ぐやうに靴下を脱ぐ 小島ゆかり
- (7) 靴下は穿くためにある――十二月二十四日の母の口癖 大村陽子
検索窓と生きる
- (1) 2月5日の夜のコンビニ 暴力を含めてバランスを取る世界 永井祐
2つのTODOリスト
ゲーム機の世代スイッチ
- (1) 雨宿りせし駄菓子屋にインベーダーゲーム機ありき あの夏のこと 笹公人
- (2) ファミコンはいつ買つてくれるかと電話にておもひつめたる声で言ひけり 小池光
- (3) たまごっち・オスっち・メスっち・てんしっち 育児・生死も手のひらに載る 川明
- (4) プレステが解禁となる受験後の一戦早くも殺られておりぬ 柴田瞳
- (5) パソコンの〈ごみ箱〉に棲むテトリスをときをり呼びてまひるま遊ぶ 大松達知
- (6) ご先祖さま曰く「あ、WiiFit!……型の体重計て……ホンマに萎える」 中島裕介
- (7) 裾上げを待つ ストIIのデモ音がやけに響いているゲーセンで 岡野大嗣
- (8) 親にスマホもPSPも取られて良かった自由ですと日誌にあり 染野太朗
- (9) 夜の公園にポケモン探せと奨励せしこの世あまりに小さき日本 川野里子