骨格を問う ――特集:短歌賞を考える

四年ほど前、座談会収録のために本郷にあった角川ビルを訪れた。収録には「短歌」編集長を退かれてまもない杉岡中氏も同席された。収録の合間に、私はほんの興味で、角川では短歌評論の新人賞は用意されないのか、ということを聞いてみた…

雨と徹底的な外部 ――特集:雨の歌

雨、うすきテントを叩く外部とは徹底的に外部であった 中澤系『uta0001.txt』   硬貨の絵柄は海の生物 雨がシングルクリックとなるまでを待つ5クローネ(銀のイルカ)を指で跳ねあげ 光森裕樹『鈴を産むひばり』 雨の…

磁石と暮らす ――特集:連作を極める

角川短歌賞には三度応募した。予選通過・次席・受賞と一段ずつにじり寄った形と言えるが、寡作であるため数年おきの応募だった。結果を確認するたびに退路を断たれるような気分になったけれど、以降も歌集をまとめる際など、何をしても同…

中畑智江『同じ白さで雪は降りくる』歌集評

しろがねの機体の待機しておれば北海道とはやはり遠いな 帯広に行く場面を詠んだ歌であるが、「遠いな」と、「な」で終わっていることに驚く。例えば「遠いね」という、語りかける対象を(時には過剰に)意識した口調は案外短歌に多いが…

境界の表面張力 ――ながや宏高作品批評

「水性ファンタジー」は、水に関する歌で揃えた〈水しばり〉の一連である。同様の試み自体はよくあるが、なかなか成功は難しい。例えばスポーツで考えてみると、フットボールを初めて見た人は、その面白さよりも何故〈足しばり〉なのかば…