今橋愛 歌集『O脚の膝』(Amazon Kindle版)

今橋愛さんの歌集『O脚の膝』が2003年に北溟社から出版されて10年となります。すでに入手が困難な歌集となっていましたが、この度、電子書籍として復刊されることになり、そのお手伝いをさせていただきました。

『O脚の膝』は北溟短歌賞の副賞として発行されたものですが、歌集は自費出版を基本とすることもあり、少部数が短期間に世に出て、数年後には入手が難しいということが多くあります。

その回転の速さが、短歌の世界においてある種の推進力として機能している面はあると思います。また、歌集が入手できなくなったとしても、そのうちの秀歌が何首か残ればよいのでは、というのもひとつの考え方だと思います。

一方で、例えば歌集の批評における比較対象が極めて近視眼的になっていないか、ということが気になったりします。同時期に出た歌集を比べることに、特に理由はいらないでしょう。同時期に出た、だから比べたわけです。ですが、その理由の不要性は、批評におけるある種の思考停止にも繋がるように感じます。

10年前に『O脚の膝』という歌集が驚きを持って登場した。それが10年経った今どのように読まれるのか、とても興味があります。10年前とはまた異なるすぐれた歌が集から掘り出されるであろうと思うと、楽しくなってきます。

また、一冊の歌集の読後感を語り合うこと、それが同時代を過ごしたひとびとの間だけでなされるのは、とてももったいないことだと思います。この一冊が10年という世代差を繋ぐきっかけになると、嬉しいです。

こういった協力は今後も続けていければと思っています。

今回、電子書籍にするにあたり、一番考えなければならなかったのは『O脚の膝』が他行書きを基本とする記述である点でした。文字のサイズが自由に変えられることを特徴とする電子書籍では、意図せぬ箇所で改行が発生してしまいます。それを防ぐために、すべてのページを画像化してあります。歌を検索できることなどの電子書籍の利点の一部を削ることになりますが、結果、紙版の歌集と同じく一ページ一首組みにすることができました。

* なお、全ページを画像化したことで、Kindle PaperwhiteやKindleタブレットにおける「Amazon製の端末の無料3G」では書籍をダウンロードすることができなくなっています。WiFiに接続してダウンロードする必要がありますので、その点はご留意ください。